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4月のお手入れ
 野菜が生長するのに最も適した温度のことを生育適温といいます。野菜全体の生育適温は、15〜25℃くらいといわれています。温度が低すぎる時期には、ビニールなどで保温する必要があります。
 一般に春夏野菜のタネまきは、桜の花の咲く頃を標準(大阪では4月初め)とし、苗の植え付けは霜の降りる恐れが少ない4月末〜5月上旬(いわゆるゴールデンウイーク)を目安にします。となりの方が植え付けているからといって、あわてない、あせらないことが大切です。

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 タネまきの方法には、ポリ鉢等でタネをまき育苗する方法と畑に直接タネをまく方法(直まき=じかまき)とがあります。キュウリ、カボチャ等のように育苗する場合は直径9cmのポリ鉢にたっぷり水をかけたあと、3粒程度のタネをまき、トロ箱等にならべ、出来ればガラス板かビニールで覆って保温してやります。ただし、晴れた日の日中に温度が30℃を越えないよう気をつけてください。

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 直まきには、すじまき、点まき、ばらまき等のまき方がありますが、大阪シロナ、コマツナ、ホウレンソウ、シュンギク等のいわゆる軟弱野菜は、すじまきのほうがあとの管理が楽です。
 覆土はタネが見え隠れする程度にし、クワの背で軽く押さえてやり、水をかけたあとにカンレイシャ(寒冷紗)をかぶせて発芽まで保温します。軟弱野菜は一度に広い面積にまかないで、10日くらいの間隔をあけて何回にもわけてまくようにしましょう。
 なお、エダマメやスイートコーンのタネまきは、早まきを避け、地温が13〜14℃以上になってからにします。私はいつも5月10日前後にまくようにしています。

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 トマト、キュウリ、ナス、ピーマンなどの夏野菜は、種苗店から苗を購入して植える方が多いと思います。「苗半作」といって、苗の良し悪しがその後の生育に影響しますので、良い苗を選ぶことが大切です。

 夏野菜の苗を購入する時の注意点は、
1.伸びすぎた、ひ弱な苗はダメ。節間が短い「ガッチリ」と充実した苗がよい
2.若苗や老化苗でないこと
3.病気や虫に侵されていない苗
4.連作障害を少しでも回避するため、出来れば接木された苗を購入してください

※夏野菜のその後の管理、整枝・剪定等は「5月のお手入れ」でお知らせします。



5月のお手入れ
 4月下旬〜5月上旬のゴールデンウイークに、夏野菜のタネまきや苗の植え付けをされましたか。タネまきや苗の植え付けをしてから1週間の管理が大切です。
 できるだけ農園に出向いて、水やり、支柱立てなどこまめな管理をしましょう。

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 今回は、夏野菜のその後の管理とサツマイモの苗の植え付け、エダマメ、スイートコーンのタネまきについてお話しします。



6月のお手入れ
 4月下旬から5月上旬に植えたナス、キュウリなどの夏野菜の収穫がぼつぼつ始まりますが、畝の土が、水やりや雨によって流されたり、また固くなって空気や水の通りが悪くなっていませんか。雑草もいっぱい生えてきていませんか。

 土を柔らかくするため除草を兼ねて畝の表面を削ったり、軽く耕すことを「中耕(ちゅうこう)」といい、株と株との間を軽く耕やしたりして、柔らかくなった土を株元に寄せてやることを「土寄せ」といいます。この時期に中耕と土寄せをし、追肥を与えるようにすれば効率的です。なお、追肥は株元から少し離れたところに浅い溝をつけて与えましょう。

 6月後半から梅雨に入りますので畝間の排水対策も大切です。



7月のお手入れ
 7月の前半はまだまだ梅雨の季節です。排水対策や泥の跳ね返りを防ぐために株間に敷きワラをするなど、病気の発生に気をつけることが大切です。

 また、7月中旬に梅雨が明けたあとは、急な高温、乾燥、そして害虫の発生に注意してください。
 水かけは、日中の温度の高い時は避けて朝夕の涼しい時に行い、たっぷりとかけましょう。

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 4月から始めたトマト、キュウリ、ナスなど夏野菜の栽培についての記事はひとまず今回で終わります。少しでもお役に立てたでしょうか。

 8月からは、家庭菜園がもう一つの盛り上がりを見せる秋野菜の準備が始まります。秋野菜のよい収穫を目指して、次の楽しみに挑戦しましょう。



8月のお手入れ
  私たちにはお盆休みがありますが、野菜たちにはお休みなどありません。8月に入れば、夏野菜の収穫ばかりに気をとられず、ダイコンキャベツハクサイなどいろいろな秋野菜のタネまきや苗の植え付け準備をしなければなりません。

 秋野菜のタネまきや苗の植え付けが1週間遅れると、収穫が1ヵ月も遅れてしまうので、いつ収穫したいのかを考え、タネをまく時期と品種をよく調べて具体的な秋野菜栽培計画をたてましょう。
 特に、キャベツ、ハクサイについて、タネをまき苗を育てるところからやってみようとお考えの方は、品種にあったタネまき時期を守ることが大切です。

 もう一つ大切なことは、ハクサイ、キャベツ、カブなどはアブラナ科の野菜なので連作を避けます。昨年からこの夏までの間にアブラナ科野菜を栽培したところにはこれらを植えないように気をつけます。アブラナ科の野菜を連作すると、根にコブをつくり生育障害を起こす「根こぶ病」が出やすいのです。ジャガイモスイートコーンを収穫したあとに植えるように計画するとよいでしょう。

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 秋野菜の栽培の準備として、タネまきや苗の植え付けの1ヵ月前から2週間前まで、遅くともお盆までには土づくりを済ませておきます。夏野菜を収穫したあとに秋野菜を植える場合でも、10m2あたり堆肥20kgと苦土石灰1kgを与え、よく耕耘します。

 タネまきや苗の植え付けの1週間前までに、元肥として10m2あたり油粕1kgと化成肥料1kgを混ぜて与え、もう一度よく耕耘して畝を立てたら、秋野菜の準備は完了です。

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 家庭菜園でよく使われている「スミチオン」という商品名の農薬は、ダイコン、ハクサイ、キャベツなどアブラナ科野菜に使うと薬害が出やすく、使ってはいけない農薬になっているので、これらの野菜には絶対に使用しないでください。



9月のお手入れ
 8月下旬から9月上旬は、ダイコンホウレンソウシュンギクなど秋・冬野菜のタネまきと、キャベツハクサイブロッコリーなどの苗の植え付け時期です。この時期のタネまきや苗の植え付けが1週間遅れると、収穫が1ヵ月も遅れるといわれるほど収穫時期に影響するので、品種や土地の条件を考えてタネまきと苗の植え付け時期を決めることが大切です。

 タネまきや苗の植え付けの、遅くとも2週間前までに土づくりを済ませ、1週間前までには元肥を入れて畑の準備をしておきます。畑の準備が終わっていない方は急いで準備しましょう。

 以前、1日でも早く収穫したいと考えて8月のお盆すぎにダイコンのタネをまいたことがありますが、この時期はまだ暑すぎて「ダイコンシンクイムシ」の発生が多く、無惨な結果になってしまいました。それからは、ダイコンのタネは9月上旬にまくことにしています。

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 秋・冬野菜、とくにアブラナ科野菜には、アオムシ、コナガ、ヨトウムシ、ネキリムシ類、ダイコンシンクイムシなど色々な害虫がつきやすく、無農薬で栽培するのは難しいのです。きっと虫たちも、柔らかくておいしい秋の野菜が大好きなのでしょう。農薬は極力使いたくないのですが、この時期のアブラナ科野菜には最小限の農薬散布は必要だと考えています。

 タネをまいたときや苗を植え付けたときに、1ヵ所に2g程度のオルトラン粒剤などの殺虫剤を土に混ぜておき、さらに若苗の時期を中心に2〜3回殺虫剤を散布して、弱い時期に虫たちから守ってやることが必要です。

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 購入したタネがその年に使いきれなくて、残ってしまうことはありませんか。 タネにも寿命があって、残ったタネが次の年にも使えるかどうか確かめてから保存するようにしましょう。

毎年新しいタネを購入しなければならないもの(タネの寿命の短いもの)
ネギ タマネギ ニラ ゴボウ
ニンジン ミツバ インゲンマメ ラッカセイ


保存して翌年も使えるもの(やや寿命の長いもの)
キャベツ ハクサイ カブ ダイコン
レタス ピーマン スイカ エダマメ


うまく保存すれば何年でも使えるもの(長命なもの)
ナス トマト キュウリ カボチャ マクワ


 保存して使えるタネは、お茶の空き缶などの底に乾燥剤とともに入れ、密封して冷蔵庫で保存します。



10月のお手入れ
 10月は秋・冬野菜の生育最盛期です。9月に引き続きそれぞれの野菜の生育にあわせ、かん水、間引き、中耕、追肥などの管理をこまめに行いましょう。

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 この時期、モンシロチョウなどが飛び回っていませんか。野菜の葉っぱの裏側をよく観察し、アオムシなどの幼虫を見つけ次第、手で取り除くか発生の初期に殺虫剤を散布します。農薬を使用する場合にはその農薬の対象野菜、病害虫に使用登録されているかなど、使用上の注意をよく確認してから散布して下さい。

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 私はJA(農協)で販売している有機配合肥料(元肥には「やさい有機1号」、追肥には「やさい有機2号」)を使っています。

 「やさい有機1号」の成分は、チッソ13%、リンサン10%、カリ12%、苦土2%、マンガン0.4%、ホウ素0.2%、「やさい有機2号」の成分は、チッソ14%、リンサン3%、カリ10%で、硫安、塩化加里、尿素、過りん酸石灰、油粕、動物かす粉末、乾燥菌体肥料、苦土などが配合されています。

 JAやホームセンターなどで、いろいろな肥料が販売されています。説明書きをよく読んでから選んでください。



11月のお手入れ
 ダイコンハクサイキャベツなど、秋・冬野菜の収穫がいよいよ始まります。

 昨年は台風と長雨で、スーパーに出回る秋野菜が少なく、高値で販売されて話題となりました。今年はどうでしょうか。

 適期を逃がさず順次収穫して、秋・冬野菜を思いっきり楽しみましょう。収穫適期はそれぞれのコーナーをお読み下さい。



12月のお手入れ
 野菜は寒さにあうと、一段と甘みを増しておいしくなります。ミズナも一度霜に当たってから食べるとセンイが柔らかくなり大変おいしくなります。

 最近は、パリパリとした食感が若い女性たちに人気で、冬に限らず、サラダの材料として広く食べられるようになりましたが、昔ながらのハリハリ鍋などで、たっぷり食べるミズナの味も格別です。わが家では、大株のミズナをつくり、霜にあうのを待ちかねて牛肉(クジラが手に入らないので)と煮てたっぷりといただきます。

 シュンギクホウレンソウコマツナシロナなどの軟弱野菜は、草丈20〜25pくらいになったら、葉ができるだけ汚れないようにていねいに収穫します。残ったものは寒さを防ぐために寒冷紗(かんれいしゃ)などで覆って保温してやると、長く楽しむことができます。
 取り遅れて大きくなりすぎてしまった軟弱野菜でも、しっかり霜にあたっていて柔らかくておいしくいただけます。

 おもな野菜の収穫のコツと冬越しの方法は、それぞれのコーナーをお読み下さい。



1月のお手入れ
 冬の間の小春日和の日を利用して、空いている畝を耕す「冬の荒起こし」をしておきます。これは、土を柔らかくして根が伸びやすくするためですが、同時に空気のとおりや水はけをよくすることにもつながり、微生物が住みやすい環境をつくることになります。

 深く耕すほどよいのですが、15p以上を目安に耕し(深耕)、できるだけ上層の土と下層の土をひっくり返す(天地返し)ようにします。

 耕したあと、表面は平らにしないででこぼこのままにしておきます。そのほうが、風や太陽光線がたっぷりと土に当たるからです。

 春のタネまきや苗の植え付け1ヵ月前までに、土づくりのために堆肥をたっぷり入れてもう一度耕し、植え付けの準備をします。

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 1月のうちに、昨年の反省をし、今年の作付け計画をじっくり考えましょう。
 土づくりの計画、堆肥や肥料の準備、不足している資材の補給、カタログを見て新しく挑戦してみたい野菜、植え付け予定本数に見合うタネの注文、さらに必要経費のこともしっかり見積っておきましょう。
 また、作付け計画をたてる前に、畑の図を描き、これまでに植えた野菜の種類を場所ごとに記入し、また、栽培の経過などの記録とも見比べて、連作障害がおこらないように気をつけます。


作付け計画をたてるときに気をつけること〕
(1)野菜の分類〜「科」を知る
 現在、わが国で栽培され、市場へ出荷されている野菜の種類は30科150種類以上といわれています。栽培しようとする野菜はどんな科に属するのか、どんな野菜が親類にあたるかなど、植物学上の野菜の分類を知ることが大切です。それは、同じ科に属するものは花や果実の形・性質、かかりやすい病害虫など共通するものが多くみられるからです。

おもな野菜の植物学上の分類
アオイ科 オクラ
アカザ科 オカヒジキ・ホウレンソウ・フダンソウ
アブラナ科 カリフラワー・キャベツ・クレソン・ダイコン・タカナ・コールラビ・ブロッコリー・メキャベツ・ハクサイ・ハクラン・ワサビ・カブ
イネ科 タケノコ(タケ)・スイートコーン(トウモロコシ)
ウコギ科 ウド
ウリ科 キュウリ・メロン・カボチャ・マクワウリ・ハヤトウリ・スイカ
キク科 レタス・ゴボウ・エンダイブ・フキ・シュンギク・食用ギク・アーチチョーク
サトイモ科 サトイモ
セリ科 アシタバ・ハマボウフウ・ミツバ・セルリー・セリ・パセリ・ニンジン
シソ科 シソ・チョロギ・タイム・セージ・ハッカ
ショウガ科 ミョウガ・ショウガ
スイレン科 ジュンサイ・レンコン(ハス)
ナス科 トマト・ナス・ジャガイモ・ピーマン・トウガラシ
バラ科 イチゴ
ヒルガオ科 サツマイモ
マメ科 エダマメ(ダイズ)・ソラマメ・ササゲ・エンドウ・インゲンマメ
ヤマノイモ科 ヤマノイモ
ユリ科 ニンニク・ラッキョウ・ワケギ・タマネギ・リーキ・ネギ・アサツキ・アスパラガス・ニラ
 
(2)野菜の原産地を知る
 野菜の生まれ故郷を原産地といいます。現在の野菜は、野生の植物から品種改良して育成されたものが多いので、最初に自生していた地域(原産地)を知ることは、野菜の性質を理解するための重要な手がかりになります。

 たとえば、ナスはインドが原産地です。生長には比較的高温が必要で、生育の最適温度は20〜25℃です。したがって関西では6〜7月、9〜10月が栽培の適期です。8月は30℃以上の高温になり生長が衰えるので、7月下旬〜8月上旬に更新剪定して休ませ、9月から秋ナスが収穫できるような栽培方法をとっているのです。
 トマトは南アメリカが原産地です。したがって強い光を好み、日当たりのよいところで育ち、比較的乾燥に強い野菜です。水分や湿度が高いと病気が出やすくなります。
 キュウリはヒマラヤが原産地で、夏でも比較的涼しいところを好みます。

おもな野菜の原産地
メキシコ
中央アメリカ
トウモロコシ・サツマイモなど
南アメリカ トマト・ピーマン・ジャガイモなど
地中海 キャベツ・レタス・セルリー・アスパラガスなど
近東 ヒラマメなど
エチオピア ササゲ・オクラなど
中央アジア タマネギ・ニンジン・ホウレンソウなど
インド、マレー ナス・ササゲ・キュウリなど
中国 ハクサイ・キュウリ・ネギなど

(3)連作障害
 同じ場所で同じ種類(同じ科のものを含めて)の野菜を何年も続けて栽培すると、生育や収量・品質が極端に悪くなることがあります。これを連作障害といいます。

 たとえばトマトでは、初年度の収量を100とした場合、連作によって2年目で67、3年目で42に減収し、サトイモでは2年目73、3年目60になったという試験結果が報告されています。
 連作障害を起こすもっとも大きな要因は、野菜を連作するとその野菜を侵す土壌中の病原菌やセンチュウ類の密度が高くなるといった生物的要因です。また、特定の栄養素が欠乏したり、土壌が極端に酸性化/アルカリ化したり、野菜から出る毒素、あるいは土壌微生物の分泌する毒素など、化学的要因で病気や障害が発生しやすくなることもあります。

 連作障害の対策としては、土壌の消毒や堆肥などの有機物の施用による土づくり、接ぎ木苗の利用などがあげられます。
 もっとも効果的な対策は、毎年同じ場所で、同じ種類(科)の野菜を栽培せず、科の異なる野菜を栽培するようにすることです。

連作を避ける年数
連作の年限 野      菜      名
連作の害が少ないもの カボチャ・タマネギ・ニンジン・ダイコン・サツマイモ・カブ・ツケナ類
1年以上休むとよいもの キャベツ類・ソラマメ・シュンギク・レタス・セルリー・ネギ・ホウレンソウ
2年以上休むとよいもの ハクサイ・ジャガイモ・イチゴ・キュウリ
3年以上休むとよいもの トマト・ピーマン・サトイモ・インゲン・シロウリ・マクワウリ
5年以上休むとよいもの ナス・スイカ・エンドウ



2月のお手入れ
 冬の間に一度荒起こししておいた畑に、この時期に堆肥を入れてもう一度耕耘します。

 畑の土は、雨で流されたり、収穫したときに野菜の根について持ち出されて、何と1年間で10アールあたり約1トンも失われるといわれています。
 そのため、堆肥などの有機物を、最低でも10m2あたり10sは入れて土づくりをしないと年々土がやせていくことになります。しかも失われる土は、野菜栽培にとって大切な、表面近くの有機物に富んだ土です。

 私たちの農園では、毎年10m2あたり20〜30s程度の堆肥を入れて土づくりをしています。土づくりは大変な仕事ですが、おいしい野菜をつくるためには、避けて通れない大切な仕事です。

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 もうひとつ、野菜をつくる上で大切なことがあります。それは、土を酸性から中性に近い状態に保つことです。

 日本の土壌は火山灰が堆積してできたところが多く、もともと酸性なのです。しかも、産業が発達し都市化が進んで、大量の煙や排気ガスが工場や自動車などから排出されます。

 このため、空気中のイオウ酸化物や窒素酸化物が多くなり、これが空気中の水分と結合して硫酸や硝酸に変化し「酸性の雨」となって降るため、さらに土が酸性になり易いのです。また、硫安など酸性の化成肥料の投入も、土壌が酸性になりやすい原因の一つになっています。

 そこで、石灰質肥料を用いて土壌酸度(PH)を中性近くに補正してやる必要があるのです。しかし、酸性土壌を改善するために与える石灰質肥料を化成肥料と一緒に与えると、酸とアルカリが反応して肥料の有効成分がなくなってしまいます。このために、元肥を入れる2週間前までには、石灰質肥料を土に混ぜておかなければなりません。
 少しでも手間を省くため、堆肥を入れて土づくりをするときに、10m2あたり1〜1.5sの苦土石灰を畑全面に振ってから耕しましょう。

おもな野菜の最適酸度(PH)
酸性に弱い
(PH6.0〜6.8)
アスパラガス、セルリー、メロン、ホウレンソウ、ブロッコリー、ハクサイ、キャベツ、カリフラワー、レタス、タマネギ、ネギ
酸性にやや強い
(PH5.5〜6.8)
インゲン、カボチャ、ダイコン、ニンジン、キュウリ、トマト、ナス、トウガラシ、エンドウ、ニンニク、カブ
酸性に強い
(PH5.0〜6.8)
サツマイモ、スイカ、ジャガイモ、サトイモ



3月のお手入れ
 野菜の種類によって根の張り方が違うので、それに応じた畝が必要です。

 一般的には、ウリ科野菜は根が浅く(浅根性)、ナス科、アブラナ科の野菜は根を深く(深根性)張ります。ダイコンやニンジン、ゴボウなど直根類は主根が深く伸びるのはご存じのとおりです。

 トマトの根は、深さ1m、横に2〜3mも広がるので、できるだけ畝幅を大きく株間も広くし、耕土を十分に確保します。ダイコンは畝幅を広くするより、30p以上深く耕したほうが品質のよいものを育てることができます。また、排水の悪い土や地下水の高いところでは高畝にします。

 私たちの農園の畝は長さが100メートルもあるので、野菜の種類ごとに畝幅を変えていたのでは手間がかかり過ぎて大変です。そこで、幅100pの畝を1本、幅120pの畝を2本つくり、野菜の種類に応じて株間を考え、必要な耕土の量を確保するようにしています。

 なお、野菜の種類によっては2条まき、2条植えにし、軟弱野菜はひと畝を2本(50p畝)に分けて使います。

服部農園での野菜の畝幅と株間の目安
畝 幅(p) 株 間(p) 備  考
ジャガイモ(春作) 100 30
35
男 爵
メークイン
トマト 120 50  
ナス 120 50  
ピーマン 120 50  
キュウリ 120 60  
サトイモ 120 50  
スイートコーン 100 30 2条まき
エダマメ 100 30 2条まき
サツマイモ 100 40  
スイカ 2に1株  
カボチャ 2に1株  
ダイコン 120 25 2条まき
ハクサイ 120 40 2条植え
キャベツ 120 40 2条植え
ブロッコリー 120 40 2条植え
タマネギ 100 12 2条植え
イチゴ 100 20 2条植え



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