ダイコンのお手入れ
8月
タネまきは8月下旬から

 ダイコンの発芽適温は15〜30℃と広く、8月20日〜10月10日くらいまでの間ならいつでもタネをまくことができますが、家庭菜園では、一番つくりやすい8月下旬〜9月はじめにタネをまき、11〜12月に収穫する栽培方法がよいでしょう。

 昔から「大根十耕」(だいこんじっこう)という言葉があるように、よく耕した畑ほど立派なダイコンが育つので、深さ30cmくらいまで何回も耕します。特に夏野菜を収穫したあとの畑を利用する場合はよく耕してください。
 ダイコンの根が石や土のかたまり、完熟していない堆肥、雑草の根などに当たると、股根になったり、ヒゲ根が多いダイコンができてしまいます。

 幅90cm〜1mの畝をつくり、間隔(株間)20〜25cmで2条にタネをまきます。ダイコンは「共育ち」といって、かたまって発芽しているほうが初期の生育がよいので、タネは1ヵ所に3〜5粒ずつまき、1cmほど覆土してクワで軽く押さえます。

 双葉が出て本葉2〜3枚になった頃に一度間引きをし、2〜3本の苗を残します。その後、本葉が5〜6枚になった頃にもう一度間引きをして、良い苗を1本だけ残します。間引く苗は生育の遅れているもの、逆にあまりにも生育が旺盛なもの、葉の色が濃くつやのないものや葉が奇形のもの、病害虫に侵されているものです。

 発芽直後に「ダイコンシンクイムシ」などの被害にあうので、タネをまいた後カンレイシャ(寒冷紗)で覆い、虫を寄せ付けない工夫をするか、オルトラン粒剤などの殺虫剤をふり、土と混ぜておきます(タネをまいたところ1ヵ所につき2g程度)。

 ダイコンの間引き菜をおいしいといって収穫される方がありますが、オルトラン粒剤を与えた場合、農薬が残っているおそれがあります。そのため、タネまきから3週間は間引いた菜は食べないでください。間引き菜を食べたい方は、別に専用の場所をつくり、カンレイシャをかぶせて無農薬で育てます。このときは葉を食べる品種(例えば「ハットリくん」)を使います。

 

9月
本葉5〜6枚目までの管理が大切

 20〜25p間隔で1ヵ所に5粒ほどのタネをまきます。本葉2〜3枚の頃に1回目の間引きをし、本葉5〜6枚になった頃にもう一度間引いて、良い苗を1本だけ残します。

 ダイコンは根とその上部の胚軸が肥大したもので、根の肥大は本葉3〜4枚のころから始まります。この頃に、初めの組織が破れて肥大するための組織が育ってきます。これを「初生皮層はく脱現象」といいます。このため、タネまきから本葉5〜6枚までの管理と肥料の与え方が品質に大きく影響します。

 間引きが終わったときに、中耕を兼ねて株元に土寄せし、葉の色がうすい場合には、畑102当たり500g程度の有機配合肥料(化成肥料と有機肥料を混ぜ合わせた肥料)を株元にばらまきます。


11月
「す入り」の原因

 ダイコンのしっぽに近い部分は辛みが少し強いのでおろし用に、葉付きに近い部分は辛みが弱いので煮物に、真ん中部分は甘みが強いのでサラダや生食用にと、1本のダイコンを3等分してそれぞれの部位にあった料理でいただくと、よりいっそうおいしく味わえます。

 タネまきから約60〜65日で収穫できます。タネをまいた日から計算して大きく育ったものから収穫します。凍るようになるまでは霜よけしながら畑におくこともできますが、あまり遅くまで畑におくと「す入り」になったり、皮の内側にある繊維が堅くなってしまいます。凍るようになる前に堀り上げて、土中に埋めて保存するとよいでしょう。

 チッソ肥料が多すぎたり、植え付けの間隔が広すぎたり、土壌湿度が高すぎたりすると根が急速に肥大し、根の生長に葉の光合成が追いつかなくなり、十分な養分が補充されず、根の一部の組織が老化して「す入り」(空洞)となることもあります。友人などにあげるときには、「す入り」でないことを確認してからあげましょう。

 外側の葉を取って、つけ根から3pくらいのところを切り、その断面を調べます。断面の中央部が白くすいている場合には、根の部分も「す入り」になっています。

 ときどき裂根(割れている)や岐根(また根)、凸凹症状(ガリダイコン)、さめ肌心腐れ(芯が黒くなる)などのダイコンが見られます。

 裂根は生育初期に土壌が乾燥し、その後、急に水分が過剰になると発生しやすくなります。岐根は化学肥料や未熟な堆肥が根の先端に当たった場合や、ネコブセンチュウなどの虫害を受けた場合、子葉や胚軸の片側が痛んだ場合、土壌の通気性が不均一の場合、また、古いタネや貯蔵状態の悪いタネをまいた場合にも起こるといわれています。
 また、凸凹症状はウイルス病によって起こり、さめ肌心腐れは、土壌が酸性になりホウ素が吸収されにくくなったときに起こります。

 このような症状が出ないようにするためには、タネまき前によく耕しておくことと土づくり、そして、その後の適切な栽培管理が大切です。


12月
お正月前に掘り上げ、土に埋める

 比較的寒さに強い野菜ですが、地上に出ている部分は0℃以下になると凍ってしまうので、収穫期に入ったダイコンはお正月前に堀り上げ、土の中に埋めて保存します。

 畑の隅に30p程の深さの穴を掘り、そこに葉を切ったダイコンを横に並べたあと土をかぶせ、水が入らないようにビニールで覆っておきます。
 必要なときに必要な分だけ掘り上げて使います。

 

 
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