管理のコツ 1

畑の準備

 野菜は、土に根を下ろし土から生育に必要な水や養分を吸収します。そのため、タネまきや苗を植える前に必ず畑をよく耕し、よい土をつくっておくことが必要です。

 土をやわらかくして野菜の根が伸びやすくするために土を耕しますが、土の空気の通りをよくしたり、水はけをよくするためにも大切です。

 よい土とは、土に堆肥や腐葉土などの有機物を入れてよく耕し、空気や水分を十分含んだ土をつくりあげることです。このような土を団粒(だんりゅう)構造の土といい、空気や水を適度に含み野菜がよく育ちます。

 また、土が酸性の場合は、耕すときに石灰を入れて最適酸度に整えます。石灰質肥料は化成肥料と一緒に施用すると、酸とアルカリが反応して肥料の有効成分が失われるので、少なくとも元肥を入れる2週間前までに、堆肥といっしょに入れ、土の深さ20〜25pは耕します。
〔おもな野菜の最適酸度(PH)についてはここをクリック〕

 堆肥や腐葉土は12当たり2〜3s、石灰は苦土石灰で12当たり100〜150gを標準とします。畝の幅は1m程度が標準です。
〔野菜の畝幅と株間の目安についてはここをクリック〕

 畑のある場所や形状も違うので一概にはいえませんが、畑全体に光がよく当たるように畝の方向を考えます。

 太陽は東から西に動くので、春夏野菜では南北に畝をたて、秋冬野菜では東西に畝をたてるのが理想です。春から夏にかけての太陽は真上を東から西に動きますが、秋から冬の間は太陽が低いところを動くため、朝夕は弱い光ですが、日中は南側からの日射量が多くなるためです。

 毎作ごとに畝の方向を変えることは大変なので、生産地では南北畝を標準にしますが、小面積の自家菜園なら変えることができるかもしれません。

 また、風向きを考えて畝をたてると、風通しがよく病害虫の発生も少なくなります。畑のまわりの地形を見て、畝の方向を考えてみましょう。


元肥の量

 元肥として与える肥料の量は野菜の種類によって異なりますが、チッソ、リンサン、カリが混合されている化成肥料や有機配合肥料(有機質肥料と化成肥料が混合された肥料)などで、軟弱野菜で12当たり100g程度、果菜類で150g程度が標準です。

 私たちの農園は5002もあって広いため、できるだけ除草の手間を省くために、全ての畝に黒いマルチを被せてマルチ栽培をおこなっています。

 この方法では、追肥を与えるときにマルチを破る必要があるため、追肥の回数を減らして元肥中心の栽培方法をとっています。そこで、元肥は少し多目の有機配合肥料12当たり100gと油かす100gをあわせて与えています。

 根の浅いホウレンソウ、コマツナなどの軟弱野菜やネギ類の元肥は、畝の表面全面にまいて土とよく混ぜる全面施肥の方法を取ります。トマト、ナスなどの果菜類は、畝の中央に深さ20p程度の溝を掘り、そこに必要な肥料の半量ほどを入れて溝を埋め、後の半量は畝の表面にまいて土とよく混ぜる方法が理想です。

 カボチャ、スイカなどは、苗を植える予定のところに直径40p、深さ30p程度の穴を掘り、そこに全量の肥料を入れて土を戻す方法をとります。


タネまきの方法

 タネにも寿命があります。ネギ、タマネギ、ゴボウ、ニンジンなどは寿命が1〜2年ですから毎年新しいタネを購入して使用します。その他の野菜にも2〜4年と寿命があるので、タネ袋に書いてある採種年月日を残しておきましょう。
〔タネの寿命についてはここをクリック〕

 タネまきの方法には、ポット鉢やトレイにタネをまいて育苗する方法と、畑に直接まく(直まき=じきまき)する方法があります。トマトやナスなどの果菜類は育苗しますが、スイートコーンとダイコン、ニンジンなどの根菜類とホウレンソウ、コマツナなどの葉菜類は畑に直接タネをまきます。キュウリやエダマメは育苗する場合と直まきする場合があります。

 タネをまいたら薄く覆土をします。タネの種類によりますが、覆土は厚くならないように気をつけます。覆土の目安としては、一般的にタネの大きさの2倍程度の厚さを標準にし、野菜によって調節してやります。

 ミツバ、レタス、ゴボウ、ニンジンなどのタネは、光があたるほうが発芽しやすいので覆土は薄くします。トマト、ナス、ネギ類、タマネギなどのタネは、光があたると発芽しにくいのできっちりと覆土します。

 なお、アブラナ科野菜のようにタネの細かい野菜は、鍬の裏や板で軽くたたく程度の覆土のほうが発芽がそろいやすくなります。
 また、発芽するまでの間は、寒冷紗(かんれいしゃ)や不織布で覆ってやると発芽がそろいます。

 タネまき後、一度水分を吸収して発芽しかけたタネが乾燥すると、そのタネは発芽能力を失ってしまいます。一度水を与えたタネの乾燥には気をつけましょう。