おもな漬け菜類の栽培
大阪シロナ

関西では漬け菜といえば大阪シロナといわれるほどで、大阪シロナが多く栽培されてきましたが、最近、おもに関東でつくられてきたコマツナが健康野菜として注目され、関西でも栽培面積が増えています。




大阪シロナ

コマツナ

ミズナ

タネノサキ(ナタネナ)

チンゲンサイ

タアサイ

サントウサイ

タカナ

ノザワナ

ヒノナ

ヒロシマナ




大阪シロナ

ハクサイとサントウサイ、ハクサイとタアサイとの自然交雑によってできたものといわれ、関西で漬け菜類といえば大阪シロナです。徳川時代から栽培され、淡泊なくせのない味を好む関西人に昔から愛されてきました。

耐寒性ととう立ち(抽台=ちゅうだい)の時期から、早生、中生、晩生の3系統に分けられています。3月上旬〜11月中旬までタネをまくことができますが、春・夏まきには早生か中生系のタネを使い、秋まきは晩生系のタネを使います。

黒葉系(おもに夏用)、黄葉系(おもに夏以外用)があり、秋まきの場合は葉柄部分が白くさえ、茎葉全体が柔らかい感じの黄葉系統の品種を選びます。
近年栽培が増えている「なにわ菜」は、大阪シロナにパクチョイの系統を交配させたものです。

タネは一度にまかないで、9〜10月に10日間隔ぐらいでまけば、順に長く収穫することができます。
80〜90pの畝に、20p間隔で縦に浅い溝を切って、そこにすじまきします。発芽後、双葉が開き本葉が出はじめた頃、4〜5p間隔に間引き、本葉5〜6枚、草丈25p程度で収穫します。
水分を好み、十分な水かけが必要ですが、水浸しにしてしまうと一晩で腐ってしまいます。
このページのTOPへ
■畑通信Part1の大阪シロナへ



コマツナ

現在の東京都江戸川区小松川町で栽培が始まり、昔から関東中心に広く栽培されていました。緑か濃くて栄養価が高く、油炒めなど洋風の料理にもあうため、いまでは全国的に栽培され、大阪でも大阪シロナに代わって消費が増えています。

3〜10月までタネをまくことができます。大阪シロナ同様、早生、中生、晩生の3系統があり、60以上の品種のタネが発売されています。

初夏から初秋までは早生系のタネを、秋冬期は中生・晩生系のタネを使います。品種によって葉の色が多少異なりますが、早生は淡緑、中・晩生は濃緑です。また、葉の形の違いにより無袴系(丸葉系)、有袴系、これらの中間型に分類されています。

発芽率がよいので厚まきにしないこと。本葉2〜3枚の頃に3〜5p間隔に間引き、本葉4〜5枚、草丈20〜25p程度で収穫します。
このページのTOPへ



ミズナ

京野菜として有名で、京菜ともいいます。一般的に早生種は葉が細かくて葉色は淡く、晩生種は葉の刻みが粗くて葉色の濃いものが多い傾向があります。

生育適温は20℃くらいで冷涼なところを好み、高温では収穫間際になると軟腐病(なんぷびょう)にかかりやすい野菜です。

春はサクラの花の咲く頃から6月まで、秋は8月下旬からタネをまくことができます。収穫時期により、若採り(1株100〜200g)、中株(200〜300g)大株(1〜1.5s)とに分けられますが、春からの若採り栽培には中生種のタネを使い、秋の中・大株づくりには早生・中生種のタネを使います。

春まきは、収穫までに2回ほど間引きをして株間を20p間隔にしますが、秋まきは、株間30p間隔に一穴に5〜6粒を点まきします。
本葉2〜3枚の頃と本葉5〜6枚の頃に間引きして、最後に、タネをまいてから約30日後の本葉7〜8枚の頃に1本にします。草丈25p以上になれば随時収穫していきますが、肥料切れを起こすと品質が悪くなり味も落ちるので、肥料切れには注意します。

最近は、西洋料理などのサラダに使われ、ミズナのシャリシャリした舌触りが若い女性に好まれているようです。
このページのTOPへ


タネノサキ(ナタネナ)

大阪では、泉州、南河内地域で多くつくられており、泉州地域でタネノサキと呼ばれているように、各地でナタネナ、ハナナ、ナバナなどいろいろな呼び名があります。

タネノサキには早生系と中生系の2系統があり、中生系が多く栽培されています。9月中〜下旬に株間30pに3粒程度点まきにし、本葉が5枚になる頃までに1株になるよう間引きします。株の中心から蕾のついた茎が伸びてきてたら、蕾のかたいうちに15pくらいの長さに摘み取ります。その後、1株あたり4〜5本の側枝が出てきたら下葉2枚残して順次摘み取ります。
このページのTOPへ


チンゲンサイ

チンゲンサイは1970年代にわが国に導入され、急速に広く普及した中国野菜です。
葉柄の緑色のものをチンゲンサイ、白色のものをパクチョイといいます。

栽培が可能な温度が5〜35℃と耐暑性、耐寒性が強く、最適な発芽温度15〜25℃で3〜5日で発芽します。

秋まきの場合は8月下〜9月中旬にタネをまき、10月下旬〜11月下旬に収穫する方法と、10月〜11月にタネをまき、1月〜4月に収穫する方法があります。

直まきの場合は株間15〜20p間隔に一穴に2〜3粒点まきし、2回程度間引いて本葉4〜5枚の頃に1本立ちにし、葉数12〜14枚(草丈20〜25p)になったら収穫します。
このページのTOPへ


タアサイ

昭和初期に中国から導入されて、キサラギナ、ヒサゴナと名づけられましたが普及せず、本格的に栽培されるようになったのが昭和50年代以降です。

性質はチンゲンサイとよく似ていますが、チンゲンサイに比べて葉の数が多くて生長が遅く、9月にタネをまいて11月〜12月に葉数50〜70枚になり、葉が地面を這うような姿になります。

株間30pで一穴に2〜3粒を点まきにします。本葉3枚の頃に1本立ちにし、葉数30〜50枚(1株200〜300g)の頃から順次収穫します。
このページのTOPへ


サントウサイ

9月上旬からタネをまき、90〜100日で1株4〜5sくらいの大きさになると収穫します。

株間50p、一穴あたり5〜6粒を点まきにし、タネが見え隠れする程度に覆土します。その後、本葉が見えはじめたころに2〜3株に、本葉2〜3枚の頃に2株に間引きし、本葉4〜5枚のころに1本立ちにします。

中心部の葉が黄色を帯び、盛り上がってきたころが収穫の適期です。
このページのTOPへ


タカナ

三池タカナ、柳川タカナ、かつお菜等九州地方で栽培が多く、8月下旬〜9月上旬からタネをすじまきし、本葉2枚の頃に株間20p程度に間引きします。 外葉が十分大きくなったら、5〜7日ごとに大きな葉を順次かき取って収穫します。

福岡県博多では、かつお菜はお正月の雑煮に欠かせない青物です。お正月から春までの間に収穫します。
このページのTOPへ


ノザワナ

18世紀に大阪の天王寺カブラを、京都に勉学にきていた僧侶が長野県野沢温泉村に持ち帰り栽培したものの中から、突然変異したものだと伝えられています。繊維質が多くて香りがよく、名物の野沢菜漬けとして利用されています。

冷涼な気候を好み、耐寒性が強く、発芽の適温は18〜25℃、生育の適温は18〜23℃です。

9月初旬から12p間隔に一穴2〜3粒のタネを点まきにして、本葉2枚の頃と3〜4枚の頃に間引きし、1本立ちにします。草丈が50〜60pになる11月頃から収穫できますが、霜に2〜3回あわせてから収穫するほうがおいしいノザワナを食べることができます。
このページのTOPへ


ヒノナ

滋賀県蒲生郡日野町が発祥地で、近江で生まれ近江で育った漬け菜です。

葉は立ち性で、わずかにギザギザがあり濃い紫紅色を帯びています。根は細いダイコン状で上部は赤紫色になります。秋まきは8月下旬〜9月中旬にすじまきにします。

本葉1〜2枚の頃と本葉3〜5枚の頃に間引きをし、本葉6〜7枚の頃に10p間隔にします。生育日数50〜55日を目安に収穫します。
このページのTOPへ


ヒロシマナ

広島市近郊の特産で、今から約400年前に京都から広島へ伝えられた漬け菜です。

生育適温15〜20℃で、タネを9月下旬にすじまきし、本葉がでた頃と本葉4〜5枚の頃に間引きをし、本葉7〜8枚の頃に30p間隔に最後の間引きをします。生育日数70日くらいで本葉12枚以上になる12月頃に、1株2s程度で収穫します。