ハクサイ栽培の留意点 | |
ハクサイ栽培の全般について、やや詳しく紹介します。月ごとのお手入れは「畑通信パート1」の「ハクサイのお手入れ」をご覧ください。 |
ハクサイの生育適温は、生育初期は20℃くらいで結球期は10〜15℃です。
発芽適温は18〜22℃(発芽可能な温度は4〜35℃)で、タネまき時期はその地方の平年の最低温度が15℃になる日から35日前くらいが適期といわれています。関西地方では8月15日〜9月10日頃です。
生育日数は約70〜80日前後です。早まきすると、発芽・生育時期に高温・乾燥の害を受けやすく、病害虫も多くなります。遅まきすると、低温によって葉球の肥大と充実が悪くなり、寒害を受けやすくなります。
1回目のタネまきを8月のお盆すぎ、2回目を8月下旬、3回目を9月上旬と分けてまくと、11月〜2月まで順次収穫することができます。
最近は、ハクサイの球内部の色が鮮黄色(黄芯系品種)で、葉質が柔らかい甘みのある品種が中心です。また、これまでの品種の平均重量は3s程度ですが、600g程度で収穫する、食べっきりサイズの「ミニハクサイ」も売り出されています。
ハクサイは育苗して苗を植える場合と、畑に直まきする場合があります。
育苗する場合は植え痛みを少なくするために、9pのポリ鉢に有機物に富んだ床土を入れ2〜3粒ずつまき、本葉が出はじめたころに1本にします。セルトレイで育苗する場合は128穴のものに1粒ずつまきます。いずれも育苗日数は約20日、本葉4枚程度になった苗を定植します。
直まきの場合は1ヵ所に3〜5粒ずつまいて薄く覆土し、本葉2枚のころに3〜4本、さらに本葉4〜5枚のころに1本にします。
なお、作付け本数の少ない場合は、9月初旬に種苗店から育苗苗を購入すると便利です。私も週1回程度しか農園にいけず、育苗の管理ができないので、少し高くつきますが毎年購入苗を使っています。
ハクサイは平均気温13〜15℃で花芽が分化します。花芽分化したものは高温、長日条件がそろうと花芽を伸ばし、とう立ちしてやがて開花します。花芽が分化すると、その後の葉の分化が停止し、葉数が増えないので結球しないことがあります。
しかし、花芽分化が起こっても、その前に結球に必要な葉数が確保されていて、とう立ちがあまり進まなければ結球します。
したがって、低温がくる前に十分な生育が得られるようにタネまき期を決めることが重要になります。
ハクサイの葉には外葉と葉球を構成する内部の葉(結球葉)とがあります。
外葉は光合成によって作られた炭水化物を結球葉に送り、肥大充実をうながす大切な役割を果たします。外葉の葉数が20枚くらい(タネまき後30日の頃)になると、内部から新しく生長してくる外葉によって遮光されるようになり、内部の結球葉が立ち上がってきます。タネまき後50日頃には内部の葉が互いに抱合して結球をはじめ、タネまき後70〜80日頃には結球が完成します。
しかし、葉の立ち上がりが起こっても葉が互いに抱合しあうだけの数、大きさ、形をもっていなければ結球を始めることができません。
同じ重さの結球でも品種によって結球葉数の多いものと少ないものがあるので、品種の選択には気をつけましょう。
充実した葉球を得るためには、結球葉の分化が順調に行われなければなりません。害虫により葉が被害を受ける、日照不足、窒素の不足や過剰、土の乾燥や過湿などで結球葉の分化が遅くなると、結球態勢に入っても球が充実せずしまりのない球になったり、結球しなかったりします。
結球に必要な結球葉の数は、1枚の葉の重量が大きく少数の結球葉で構成される「葉重型品種」では35枚、1枚の葉の重量は小さいが多数の結球葉で構成される「葉数型品種」では70枚、その「中間型品種」では55枚程度です。
ハクサイが結球する時期の生育適温は10〜15℃ですが、昼夜の温度差が大きいほど充実した葉球が得られます。
耐寒性は比較的強いのですが4〜5℃以下になると生育が停止し、−8℃以下になると凍害にあいます。なお、急激に夜温が低下した時は、−3℃でも被害を受けます。12月以降に畑で保存する場合は、外葉で結球葉を包んでヒモなどでくくっておきましょう。
また、暑さには比較的弱く、15℃以上の高温下で結球をはじめると軟腐病(はじめに葉柄部が腐敗し下葉がしおれる。のちに葉球全体に腐敗がすすみ悪臭を放つ病気)が発生しやすくなるので、発生したらすぐに株を引き抜いて、他に病気がうつらないよう畑の外に出しましょう。
ハクサイの根の働きは結球開始期頃から活発になり、養分の吸収が急激に増加します。生育初期に肥料切れを起こすと葉の巻きが弱くなり、しまった球になりません。
元肥は畑10m2あたり油かす1sと有機配合肥料1sを与えます。また、肥大充実期に養分が十分吸収されるようにすることが必要なので、追肥として9月末と葉が巻きはじめる10月中旬に、畑10m2あたりそれぞれ0.5sずつ、株と株の間に与えることが大切です。