ダイコン栽培の留意点 | |
ダイコン栽培の全般について、やや詳しく紹介します。
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ダイコンの発芽適温は15〜30℃(発芽可能な温度は4〜35℃)と範囲が広く、8月に入ればいつでもタネをまくことが可能です。しかし、私は8月中にタネをまいて、葉に小さな穴をたくさんあける「キスジノミハムシ」や、発芽直後に芯葉を食べる「ダイコンシンクイムシ」の発生によって全滅させてしまった失敗の経験があります。その後は、あわてないで9月に入ってから10〜15日間隔で2回に分けてタネをまくようにしています。
ダイコンは約60日前後で、根長40pくらいにまで生長します。最近は広い用途に向く青首ダイコンを中心に栽培しますが、子供たちにダイコン抜きを体験させたいときは、白首ダイコンの根の長い(45pくらい)品種を栽培すれば、なかなか引き抜くことができずに面白くて喜ぶことでしょう。また、たくあんにするにも最適です。
ダイコンは必ず直まきにします。移植すると直根が切れてほとんどが岐根(またわれ)になってしまいます。
直まきには、点まきとすじまきとがあります。私はマルチを張って、25p間隔にビ−ル缶大の穴をあけ、そこにタネを点まきにしています。点まきの場合は、1ヵ所に2〜3粒タネをまきます。5〜6粒まくように書かれている園芸の本もありますが、最近のタネは2〜3粒で十分です。
なお、すじまきの場合は間引きに少し労力を要しますが、生育に応じて自由に株間が調節できるし、欠株が少なくなります。また間引き菜を利用することもできます。
本葉2〜3枚の頃に1回目の間引きをし、本葉5〜6枚になった頃にもう一度間引いて、良い苗を1本だけ残します。
ダイコンの生育適温は18〜20℃です。子葉が開くと、すでに生長点で分化した葉が生長し始め、次々と新しい葉が展開していきます。
ダイコンの根部は、根とその上部の胚軸が肥大したものです。根部の肥大は葉が3〜4枚の頃からはじまります。この頃から本葉5〜6枚の間に、初生組織から肥大のための組織に変わり「初生皮層はく脱」という現象が見られるので、この頃までの管理と肥料の与え方がその後の生育に大きく影響します。
肥大は主根の上部からはじまり、順に下部も肥大して品種特有の根形ができます。肥大が終了するのは品種によって違いますが、タネまき後90日くらいです。
葉の生育が悪かったり、逆に葉が繁りすぎて養分が葉の生長に取られ過ぎたりすると、根部の肥大が悪くなります。
肥大するための適温の幅は狭く、20℃前後です。このため、高温でも低温でも根の発育障害を起こしやすいのです。
なお、耐寒性は比較的強いのですが、ある程度肥大した根は0℃以下で凍害を受けるので、それまでに収穫をすませましょう。
ダイコンの養分の吸収は、根の肥大が本格的にはじまる頃から多くなります。
「初生皮層はく脱期」までの生育が、その後の根の肥大に大きく影響するため、とくに生育初期の養分が重要です。元肥として畑10m2あたり油かす1sと有機配合肥料1sを与え、追肥としては本葉5〜6枚の頃に、各々0.5sずつを与えます。
チッソ肥料が多すぎたり、植え付け間隔が広すぎたり、土壌湿度が高すぎたりすると根が急速に肥大し、根の生長に葉の光合成が追いつかなくなり、十分な養分が補充されないため、根の一部の組織が老化してす入りになります。
なお、す入りは早生品種ほどなりやすく、また収穫が遅れると起こります。収穫のとき、付け根から2pほどの葉の軸を切ってみて、そこが空洞になっていたら根もす入りになっていますので、す入りかす入りでないかを判断することができます。
裂根 | 生育初期に土壌が乾燥し、その後水分が過剰になると起こりやすくなります。 |
岐根 (またわれ) |
主根の発達が阻害されるか、側根の発達が優勢になった場合に起こります。 主根の発達が阻害されるのは、化学肥料や未熟な堆肥が根の先端にある場合、ネコブセンチュウなどの虫害を受けた場合、耕土が浅くて根が障害を受けた場合です。 一方、側根が発達するのは主根が障害を受けた場合、子葉や胚軸の片方がいたんだ場合、耕土の通気性が不均一の場合に起こります。 また、古いタネや貯蔵状態の悪いタネをまいたときも起こりやすいといわれています。 なお岐根になったダイコンは、商品としては販売されませんが、家庭菜園では普通のダイコンと同じように食べることができます。 |
凸凹症状 (ガリダイコン) |
ウイルス病によって起こります。 |
さめ肌・ 芯腐れ (あんこ) |
ホウソ欠乏によって起こります。ダイコンの最適pHは5.8〜6.8です。土壌が酸性になるとホウソが欠乏し、アルカリになるとホウソの吸収が悪くなり、欠乏症状が現れます。 |