野菜とはやわらかくて水けが多く、新鮮な状態で副食に利用される草本植物のことをいい、一般にジャガイモ、トウモロコシ、サツマイモは食用作物(普通作物)として扱われます。ジャガイモは生産量の36%がでん粉原料用、22%が生食用、18%が加工用、9%が農家自家消費用、7%がタネイモ用などとして利用されています。

 また、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ナガイモなどはいも類としてまとめていますが、同じ科ではなくていろいろな科に属します。地下部にある茎や根が肥大して炭水化物を蓄え、食用となる作物をまとめていも類といっているのです。

 ジャガイモの原産地は、ペルー、ボリビアのアンデス山系の標高2000〜3000メートルの地帯といわれています。そのため、冷涼な気候に適しており、この特性がジャガイモ栽培の基本です。

 ジャガイモが全国的に普及したのは明治初期で、今でもジャガイモ品種の主力である「男爵(だんしゃく)」は、明治40年に川田龍吉男爵(当時の函館ドック社長)がアメリカから原種を輸入し、「メークイン」は大正7年にイギリスから入ってきました。



ジャガイモ品種の特性

 ジャガイモはナス科の作物で、生育には冷涼な気候を好み、栽培適温は15〜20℃です。塊茎の形成は17℃を適温とし、高温になるほど肥大が悪くなり、29℃以上になると停止します。ことに夜間の高温の影響が大きく、昼間は20℃付近、夜間は10〜14℃が栽培適温といわれています。


品種は次のことを考慮して選びます。

品種には早生、中生、晩生があります。
ほう芽(芽がでること)が容易であること。また、イモの初期の肥大がよいことやイモの着きが多いことも大切です。
病害虫に対する抵抗性(ウイルス病が大敵)があること。
春植え、秋植え、それぞれに適した品種を選ぶこと。

 普通、秋植えには春植えで収穫したタネイモを使用しますが、その場合は内生休眠期間(いくら環境条件がよくても芽の伸長が起こらない期間のこと)の短い品種を選ぶこと。男爵やメークインはこの休眠期間が長いため秋植えには向きません。デジマ、ニシユタカ、アンデス系の品種を選びます。なお、農林1号は晩生品種ですが、休眠期が短いので春秋兼用の品種です。



春植えジャガイモのおもな品種の特性

男 爵 早生で表皮の色はやや濃く、形は球状で目のくぼみが深いのが特徴です。肉質は白色の粉質で、メークインに比べてでん粉(14%程度)が多く、ホクホクした食感があり、粉ふきイモやマッシュポテト、コロッケをはじめいろいろな料理に適しています。
メークイン 中生で長い卵形をしており、目の数が少ないため皮が剥きやすいことが特徴です。肉質は黄白色のきめ細かな粘質で、煮くずれしにくく、煮物やシチュー、カレーライス等に適しています。でん粉は13%程度です。
キタアカリ 早生で偏球形をしており、皮色は黄白色、目のくぼみはやや浅く赤いのが特徴です。肉質は黄色で粉質、ホクホクとして甘味があります。ビタミンCが多く、でん粉も17%と豊富。火の通りが早いので、電子レンジでも簡単に調理できますが、煮くずれしやすいので煮物には不向きです。
ベニアカリ 晩生で皮色が赤く、目がやや浅いことが特徴です。肉質は白色で、でん粉20%程度と生食用品種の中でもっとも多く、コロッケ、サラダ、マッシュポテトに最適です。皮ごとすり下ろして、お好み焼に入れてもおいしいいもです。
ホッカイコガネ 晩生・多収で形はメークインに似た長楕円形です。皮色は淡褐色で目は浅く、肉色は淡黄色です。肉質はやや粘質で煮くずれしにくく、加工用に開発された品種で、フライドポテトやポテトチップスに適しています。でん粉は16%程度です。


 この他、春植えの品種として、アンデスの近縁栽培種を改良したインカのめざめやトヨシロ、ワセシロ、農林1号、トウヤなどがあります。