野菜と土壌成分 | |
砂の多い土は保水性が悪いために乾燥害を受けやすく、しかも養分保持力が弱いため、与えた肥料が流亡したり、早く効き過ぎて生育後半に肥切れを起こしやすくなります。また、肥料を一度に多く与えると濃度障害が出やすくなります。
したがって砂の多い土では、保水性と養分保持力を高めるための土壌の改善が必要です。
粘土の多い土は保水力がよく、水不足になりにくいですが、一方、通気性が悪いため根が酸素不足を起こしていたみやすいのです。また養分を保持する力が強いため肥切れは起こしにくいですが、生育の後半に肥料が効き過ぎて徒長をまねくことがあります。
したがって、粘土の多い土では排水性・通気性を高めるための土壌の改善が必要です。
成分の不足と過剰、いずれの場合もきっちりした土壌診断を行い、施肥設計や連作障害対策を立てることが必要となります。
あわせて、地力をいっそう増強するために、堆肥などの有機物と苦土石灰などの土壌改良資材をバランスよく施用することが大切です。
1 | 未分解の粗大有機物(微生物の分解をあまり受けていない、形の大きな残渣(ざんさ)などの有機物の断片)が土壌に孔隙(こうげき=すきま)をつくるため通気性がよくなります。 |
2 | 有機物の微生物分解で生まれる腐植物質によって、土壌の団粒構造が発達します(土の粒が集まって小さな団子のようになること。土がふかふかになります)。 |
3 | 土壌が柔らかくなり通気性や保水力が向上します。 |
4 | 腐植物質によって土壌に肥料が保持されやすくなります。 |
5 | 有機物が徐々に分解されて、土壌のチッソ供給力が高まります。 |
6 | 腐植物質がアルミニウムと結合してリン酸の吸収が促進されます。 |
野菜を栽培すると、根と一緒に土が持ち出されたり雨などで流されたりして、1年に10m2当たり10sの土がなくなるといわれています。このため、理想的には10m2当たり20〜30sの堆肥を毎年補給してやる必要があります。
これらの土壌改良効果は施用してすぐに現れないため、効果が出るまでに何年も施用し続ける必要があります。