連作障害とその原因

連作障害とは

 同じ場所で同じ種類(同じ科のもの)の野菜を続けて栽培することを連作といいます。連作障害とは同じ種類を続けて栽培することによって野菜の生育や収量、品質などが低下し、ときには野菜が全滅してしまう現象をいいます。



連作障害の原因

生物的条件の悪化
原因の90%は、野菜の根を侵す土壌伝染性の病原菌や土壌センチュウ類の密度が高くなるなど、生物的条件の悪化によるものです。
特定の要素欠乏
カリウムが過剰になるとマグネシウムやカルシウムなどの吸収が妨害されて生理障害が出やすくなります。
土壌の酸性化・アルカリ化
多量に施された化成肥料のチッソによって土壌が強酸性になったり、多量の石灰資材の施用によって土壌が強アルカリ性になったりして野菜が障害を受けます。
有害物質の蓄積
野菜そのものから分泌される有害物質、あるいは土壌微生物が分泌する有害物質などによって被害を受けます。
■2)3)4)は、土中養分の均衡がくずれるなどの化学的条件の悪化によって病気や障害が発生する場合です。

■連作と多肥という条件が重なると、さらに被害が大きくなるといわれています。


野菜の種類と病原菌

 野菜の種類によって感染する土壌病原菌は限定されます。
 そのため、同じ種類の野菜の栽培を続けるとその野菜に感染可能な病原菌の土中密度が高まっていきます。

 ただし、連作したからといってすぐに発病して収量がゼロになるわけではありません。菌密度が高まった畑で同じ種類の野菜を栽培すると被害が増し、その野菜を収穫した後にも病原菌が残ります。次に植えた野菜の根に再び侵入してさらに増殖し、病原菌密度はますます高まりやがて爆発的に土壌病害が発生します。

 たとえばトマトを連作した場合、初年度の収量を100とすると、2年目の収量は67、3年目の収量は42にまで下がるという報告があります。

 しかし、土壌はそこに生息する多くの微生物によって病原菌の増殖を抑える能力を持っています。これを拮抗(きっこう)作用と呼んでいます。同じ畑でその病原菌に感染しない異種の野菜を3年ほどつくれば、その病原菌に拮抗作用のある土壌微生物が増えるため、その病原菌の密度は低くなります。


栽培間隔の目安

 次の表は、それぞれの野菜について、どの程度栽培期間を空けるとよいかという目安を表しています。


栽培を空ける期間 野 菜 の 名 前
1年以上
空けるとよい野菜
キャベツ ソラマメ シュンギク レタス セロリー ネギ ホウレンソウ
2年以上
空けるとよい野菜
ハクサイ ジャガイモ イチゴ キュウリ
3年以上
空けるとよい野菜
トマト ピーマン サトイモ インゲン シロウリ マクワウリ
5年以上
空けるとよい野菜
ナス スイカ エンドウ
連作の害が少ない野菜 カボチャ タマネギ ニンジン ダイコン サツマイモ カブラ ツケナ類